3月23日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 小児科 医長で、医師の八上 隆行(やかみ たかゆき)が、親を悩ませる「子どもの病気対処法」について、実際に子育て中の母親などから寄せられる質問を「うそ? ほんと?」形式で、わかりやすく講演しました。かつて信じられていたことが、実は正しくないことなどが紹介され、皆さん熱心に聴いていました。
八上講師の講演要旨は次のとおりです。
医学の進歩は速く、多くのことがわかってきましたが、それらは今までわかっていたことを土台にして生み出されたものです。そのなかで、今まで信じられてきたものが、実は正しくなかったり、昔から言われてきたことが医学的にも正しく、先人の知恵に脱帽することもあります。また、正しいとも間違っているとも、どちらとも言えないものもあります。
今回、小児科外来で実際にあった質問を取り上げ、何が正しいのか、正しくないのかを答えていきたいと思います。
<寝かせ方>
子どもが生まれ、退院しておうちに帰ってきます。ベッドで寝かすとき、どのようにして寝かせればいいでしょうか?
⇒ あお向けで寝かせる
1960年代後半~70年代にかけて欧米で「うつぶせ保育」が普及しましたが、うつぶせ寝と、乳児突然死症候群の関係が指摘され、今は「赤ちゃんはあお向け寝で育てましょう」と指導されています。
<熱を出したとき>
10カ月の子どもが、夜になって急に高熱(39.0℃)を出しました。座薬で下げたほうがいいでしょうか?
⇒ 熱は下げない方が良い
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10カ月の子どもですが、3日前から熱が続いており(現在39.0℃)食欲も減り、ぐったりしてきました。座薬で下げたほうがいいでしょうか?
⇒ 座薬で熱を下げた方が良い
熱は、必ずしも下げないといけないということはありません。熱は体がウイルスや細菌と闘っていて、正常に反応している証拠です。ただし、発熱による苦痛の増強や食欲低下があれば、解熱剤で緩和させてあげてください。重要なのは、体を休め、水分・栄養補給をすることです。
子どもが風邪をひいています。熱は下がってきて元気も出てきましたが、まだ咳や鼻水がひどいです。お風呂は入らない方がいいでしょうか?
⇒ もうお風呂に入ってもかまわない
熱が下がっていれば、お風呂に入ってもかまいません。また、発熱があっても、高熱でなく、機嫌が良ければ、ぬるめのお湯(38~40℃)であれば、入っても大丈夫です。10分程度で出るようにし、湯冷めに気をつけてください。ただし、6カ月以下の乳児に関しては、体温調節がまだ未熟なため、慎重に対応してください。
<アレルギーについて>
4歳の子どもに、夜になって急にじんましんが出てきました。夕食は特に普段と変わりないものを食べたのですが、原因は何でしょうか?
⇒ 食べ物が原因である可能性は低い
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じんましんは、必ずしも全てアレルギーが原因とは限りません。ただし、乳児期で、食後比較的早く全身にじんましんを認めた場合や、機嫌が悪く、呼吸がおかしいときは、アナフィラキシーショック(症状の激しい急性アレルギー反応)を考えて、すぐに受診してください。
上の子が卵アレルギーです。妊娠中ですが、母親は卵を食べない方がいいのですか?
⇒ 卵を食べてもかまいません
6カ月の子が、血液検査の結果、牛乳アレルギーがあると言われました。現在まだ授乳中ですが、母親は牛乳を飲まない方がいいですか?
⇒ 牛乳を飲んでもかまいません
妊娠中、授乳中の母親および子どもが、食事制限を行った場合と、行わなかった場合では、長期的には食物アレルギーの発症率に差はないと報告されており、食事制限は推奨されていません。
1歳の子が、血液検査の結果、小麦に対する特異的IgE抗体が陽性でした。これからは小麦製品を食べない方がいいですか?
⇒ 小麦製品を食べてもかまいません
血液検査の結果だけで、食物除去をする根拠にはなりません。早期から少量ずつ摂取することにより、早めに食べられるようになることも知られています。ただし、食物アレルギーは個人差があるので、個々に応じて、医師と相談する必要があります。
テレビで、卵アレルギーの子どもに対し、卵を食べさせてアレルギーを治しているのを見たのですが、うちの子(卵アレルギーの)にも食べさせた方がいいですか?
⇒ 無理に食べさせない方が良い
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全ての人に当てはまるわけではなく、危険性も高いので、必ず医師と相談してください。
<予防接種について>
最近、新しい予防接種が増えてきましたが、新しい予防接種は全て受けた方がいいのですか?
⇒ なるべく受けた方が良い
インフルエンザの予防接種を受けたのに、インフルエンザにかかってしまいました。ワクチンには今年の流行株は入っていなかったのでしょうか?
⇒ 流行株は入っています
予防接種は積極的に受けていきましょう。感染しても、軽症に抑えられます。
インフルエンザのワクチンは、発症予防ではなく、重症化を抑えるためのワクチンで、毎年接種する必要があります。
<そのほかの症状について>
子どもが感染性胃腸炎で、嘔吐は治まってきましたが、下痢は続いています。食事はお粥でないといけませんか? また、ミルクは与えない方がいいですか?
⇒ 普通のご飯で良い
⇒ ミルクも普通に与えて良い
2歳の子どもが、鼻水と咳の風邪です。抗生剤を飲めば、早く治りますか?
⇒ 抗生剤を飲んでも、風邪は早くは治らない
抗生剤は、細菌感染症に対して効果があるのであって、風邪症状の多くの原因であるウイルスには効果がありません。
子どもが転んでひざをすりむきました。シャワーで傷口を洗いましたが、その後、傷口はどのようにすればいいですか?
⇒ 塗り薬を塗って、ガーゼで閉じておく
傷口からは、細胞成長因子が多く含まれる浸出液が分泌され、それが創傷治癒を促進させます。そのため、消毒を繰り返すと、治癒を促す細胞まで殺菌してしまいます。創傷治癒の基本は「創面を乾かさない、消毒しない」です。
1歳の子どもが今朝から発熱しています。夕食の最中、突然ひきつけを起こしました。どうすればいいですか?
⇒ 横にして寝かし、口元をタオルで拭く程度にする
けいれんが起きたときは、あわてないことです。静かに寝かし、その状態を観察してください。嘔吐した場合は、吐いた物がのどに詰まらないよう、右側を下にして寝かします。決して口の中に手を入れないでください。舌をかんでしまうことはありません。けいれんの多くは5分以内に治まりますが、それ以上続くときは、救急受診が必要です。
ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録
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